国際公共調達の主な実施機関とそのリンク集
国際公共調達の主な実施機関には次の機関があります。なお、実際の調達は各国の政府調達機関が実施するケースも多くあります。機関によって総調達額のボリュームや調達対象の疾病ないし製品・医薬品が異なる傾向があります。
(下記の各機関名は各機関の調達関連サイトにリンクしています。)

国際公共調達に関する主な関連機関の概要は次の通りとなります。 (下記の各機関名は各機関のサイトにリンクしています。)
なお、機関によっては、調達の実施だけではなく、医薬品等の開発段階での支援や、承認、調達、展開の際の各種支援を行っています。また、下記には、開発支援や展開支援に特化した機関も含みます。
以下、 「調達実施」 に加えて、「開発支援」「承認支援」「調達支援」「展開支援」という各フェーズでの支援を行う機関ごとに整理をしています。

開発支援:開発段階における資金援助や他機関との連携等の支援を行う機関。
承認支援:承認に向け、疾病の診断テストの開発、評価等の支援を行う機関。
調達支援:国際プログラム向けの資金提供を行う。または企業の国際公共調達案件への
参入前/参入時に資金援助や供給先との価格交渉等の支援を行う機関。
調達実施:国際公共調達案件の公募を行う機関。なお、実際の調達は各国の政府調達機関が
実施するケースも多くある。
展開支援:国際公共調達事業拡大のための情報提供や問い合わせ対応等を行う機関。
「開発支援」を行う機関
新しく、即効性があり、手頃な価格の結核(TB)医薬品の開発を専門とする、非営利の製品開発パートナーシップ(PDP)。 2000年の発足以来、結核に利用できる治療法の分野拡大に取り組む。
グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund (GHIT Fund))
マラリア、結核、顧みられない熱帯病の治療薬、ワクチン、診断薬の開発を推進する日本発の国際官民ファンド。日本政府(外務省および厚生労働省)、UNDP、ビル&メリンダゲイツ財団、ウェルカムトラスト等で構成。開発途上国向けの感染症治療薬、診断薬の研究開発に資金を提供。
医療の分野における基礎から実用化までの研究開発が切れ目なく行われ、その成果が円滑に実用化されるよう、大学や研究機関などが行う研究を支援し、研究開発やそのための環境の整備に取り組むことを目的としている。
「承認支援」を行う機関(「開発支援」等も一部実施)
Stop TB Partnership – TB-REACH
UNOPSが主催する事務局と結核の診断と治療へのアクセス、新しい抗結核薬、診断法、ワクチンの研究開発、薬剤耐性結核や HIV との重複感染への取り組みを加速させることを目的とした 7 つのワーキンググループを通じて主に運営。薬剤耐性結核(DRTB)への対応のため、非政府組織向けの資金援助プログラムTB-REACHを実施している。
FIND(The Foundation for Innovative New Diagnostics )
革新的な診断を実現するため、医療提供者、開発者を結びつける非営利組織。150以上のパートナーと協力して、疾病の診断テストの開発、評価、および実装を促進。調達も一部実施。
「調達支援」を行う機関
PFSCM(Partnership for Supply Chain Management)
PFSCMは米国の国際健康コンサルタント会社 JSI Research&Training Institute, Inc が運営する非営利団体。国際機関や政府へ調達業務を提供する。
Africa Medical Supplies Platform
アフリカ連合(AU)が運営する政府機関向けの医療製品プラットフォーム。同プラットフォーム上に掲載されている製品情報や価格情報を把握することが可能。
「調達支援」 とともに「調達実施」を行う機関
UNDP(国連開発計画:United Nations Development Programme)
各国が貧困をなくし、持続可能な経済成長と人間開発を支援する国連組織。170か国に事務所を持つ。
医療機器・サービス関連の調達が総調達額の約半数を占めており、他の国際機関と比べて医療機器・サービス分野の調達が多いといえる。
UNICEF(国連児童基金:United Nations Children's Fund)
世界約192の国と地域で、子供に人道援助や開発援助を提供する国連機関。
ワクチンや疾病予防の支援、HIVに感染した母子の治療支援など子供に関する医薬品やワクチンの供給が多い点が特徴。
UNOPS(国連プロジェクトサービス機関:United Nations Office for Project Services)
国連プロジェクトの運営部門であり、国際金融機関、政府、および世界中の企業が関わるプロジェクトの管理・運営を実施。
2021年より抗がん剤、血液製剤など新たなカテゴリの調達を開始するなど、近年新しく調達を始める医薬品・医療製品分野が増えている。
また、UNOPSの駐日事務所は X(旧ツイッター)による情報発信を積極的に実施している。
WHO(世界保健機関:World Health Organization (WHO))
国際的な公衆衛生を担当する国連機関で、世界各地に6つの地域事務局を持つ。
幅広い医療製品の調達を実施しており、特にワクチンの取扱が多い。
開発プロジェクト等の実施にむけて、低・中所得国の政府に融資や援助を提供する国際金融機関。
アフリカにおけるX線システムの導入に向けた財務支援など行っている。
なお、入札情報は世銀が支援する入札の情報であり、世銀自体は調達を実施しない。
Global Fund(世界エイズ・結核・マラリア対策基金:The Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria)
国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援するため、追加的な資金調達や供与等を行う国際的なパートナーシップ機関。
デジタルヘルス分野の調達を含む開発途上国向け案件への財務支援を実施。
なお、入札情報はGlobal Fundが支援する入札の情報であり、Global Fund自体は調達を実施しない。
「展開支援」を行う機関
国際協力機構(Japan International Cooperation Agency (JICA))
日本のODA実施機関。保険・医療分野でも開発途上国向け国際協力や民間技術普及促進事業などの支援メニューを提供。
低中所得国での事業展開の検討に関する企業相談窓口の開設をはじめ、現地の保健医療事情の情報収集、渡航準備のためのリサーチ等、低中所得国の保健医療に関する様々な支援を実施。